公開: 2019年8月15日
更新: 2019年8月xx日
ルーズベルト大統領の下で、公式にその科学技術政策に助言を与えていたのは、国防研究委員会の議長であったヴァネバー・ブッシュという科学者でした。その専門は、電子回路を応用した機器の開発です。潜水艦の探知機の開発なども研究していたようです。ブッシュは、原爆開発に積極的であったと言われています。
もう一人、ルーズベルト大統領と個人的に話をして、その決定に影響を与えていたと言われているのが、ノーベル賞を受賞した物理学者のボーアです。ボーアは、後にマンハッタン計画に参加しましたが、当初、核分裂を利用して爆発物を作ろうとする考えは現実的ではないと考えていたようです。それは、天然のウランと重水を使う核分裂では、巨大な装置が必要になり、運搬できるような爆弾は作れないと考えていたからです。原爆の開発計画に参加し、その実現性が見えてきたとき、ボーアは核技術が人類の未来に大きな影響を与えると考え、核関連技術の国際管理が必要であると考えました。そして、ルーズベルト大統領にそのような核関連技術の国際管理組織の設立を提言しました。
このボーアの核技術の国際管理に賛同したルーズベルトは、ボーアを特使としてチャーチル首相との会談をさせるべくイギリスに送り込みました。チャーチルは、ボーアがソ連のスパイではないかと疑い、話をほとんど聞かなかったと記録されているそうです。現在の国連の機関であるIAEAは、このボーアの提言に近いものです。